創業30年、自動車保険をメインに父親が開業。5年前から2代目の長男に引き続き業績は微増。金曜日の夕方や土日に掛かってくる車両入替の電話で、プライベートの区別がつかない仕事に「仕方ない・・・」の雰囲気が家庭にも漂う始末。法人向けの保険商品開拓への転換を目的にコンサルティングを依頼されました。
最初はスポットコンサルティングで現在の状況をリサーチしました。契約者の1/3は50歳以上の個人で、更新手続きは電話対応が60%、残りは訪問のようです。火災保険のクロソリ契約もあり、満期の時期を見ながら効率の良い訪問をされています。法人の大口フリート契約もあり、毎年の更新はハラハラ・ドキドキとのこと。
高齢の契約者が車を手放したり、若者が車を購入してもディーラーで自動車保険に加入するなど、環境が厳しくなることに不安を感じて担当の保険会社にも相談をされました。法人への多種目販売を行い、バランスのよい商品を扱うことで経営も安定すると聞かされて保険会社の勉強会にも積極的に参加されて保険商品の知識を取得されました。その結果、他社より割安と聞かされた全国の団体保険を販売することにしました。
その結果は・・・
知り合いの経営者から4件の契約をもらい好調なスタートでしたが、それからは鳴かず飛ばずとなり、益々不安が増していったそうです。フリート契約のお客様にご案内しても、労災の事故対応経験が乏しく契約に至らなかったようです。新規法人への飛び込みではチラシを配布して近隣を回りましたが経営者には会えず、問い合わせもなかったようです。
まさに「2:8の法則を突破するビジネスの考え方」が必要です
パレートの法則で言う2割とは、知り合いや取引先、苦労して訪問を繰り返してきた偶然の結果です。その偶然に出会ったときのために保険知識を学んでいる訳ですから、残りの8割は保険の話すら聞いてもらえない大変非効率な時間帯で、精神的にも続けることが困難になるほど追い込まれる時期です。新人ならやるしかありませんが、既に契約を持った店主であればそんな苦労をするなら今の自動車保険で単価アップを狙った方が楽だと思ってしまいます。
スポットコンサルティングで見えた課題は、提案先ターゲットの選定と営業の仕組化、特化するためのまとを絞った保険商品知識のスキルアップでした。訪問する会社はどんな業種にするのか、売上高はどのくらいなのか、どんなリスクがその業種にはあるのか、自社の営業体制の仕組化と商品知識の向上です。社長と営業マンの男性で月1回のコンサルティングと、2週間後には行動報告と保険商品のスキルアップ研修をオンラインで行いました。
半年後、団体保険の獲得契約数は月平均3~4件に向上、年間獲得保険料70万円までペースが上がりました。非効率と言われる8割の時間帯に営業先ターゲットを決めて、相手に話を聞いてもられるような戦略をつくり、着座する確率を上げることで契約数は必ず向上します。話を聞いてもらえるということは営業ができる打席を増やすことですから、次は戦術を考えて打率を上げる仕組みをつくることで契約に結び付けます。営業の基本の「き」は、相手に話を聞いてもらえる環境を、自らがどう整えていくかです。
「保険の話を聞いてもらう」から「会社の魅力を伝えられる環境をつくること」個人事業からの脱却と法人営業への転換事例です。